生意気

ネット関係に勤める僕が生意気にも好きなことを語る備忘録的ブログ。好きな言葉は「急がば回れ」

ゴルゴ13が満員電車に乗ったら死者多数

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オヤジの加齢臭とオバハンの蓄積された化学合成物質の匂いの中、1時間ほど僕は電車に乗っているのですが、そんな時ふと思った妄想。

 

 

もしも電車にゴルゴがいたら

ある朝、僕はいつも通り、会社に向かうため、人で溢れかえる満員電車に乗ったんだ。

 

ドアが開けば夏の熱気と交わった色んな人の匂いが僕の鼻をつく。くせーよ!なんて声に出して言えないけど、僕は心の中で怒鳴るんだ。

 

頼むからみんな降りてくれ。

 

匂いをごまかすために、真夏の暑い日にマスクなんかしてさ、少しでも匂いの粒子を断つんだ。それと手には本を持って。

 

基本電車じゃスマホは持たない。圧倒的読書に時間を割きたい。

 

本は楽しい。色々な知識が身につくから。色々な人の頭の中を覗けるから。

 

対話よりも愉快な読書の時間。積読はどんどん減っていく。新しい本もどんどん買いたくなるけど、今はしばらく我慢しなきゃ。

 

前を見ると、やたら強面の眉毛の太い男がいることに気がついた。別にいつもならスルーしてしまうようなことかもしれないけど、そいつはなんだか様子が違った。

 

満員電車というのは不思議なもので、あれだけギュウギュウになりながらも、何故かみんな左右綺麗に同じ向きを向いて乗っている。みんながみんな電車から外を見るように立っているのに対し、僕とそいつだけは反対側を向いていた。

 

決して外を見たくないとか、みんなと同じ方向に向くのが嫌だ、なんて反骨精神はまったくなく、それこそ、この車内に充満する匂いの粒子の小ささくらい、そんな気持ちは全く無かった。

 

ただ別に、そうやってわざわざ体の向きを合わせたりだとかに、意味なんて無いと思っていたから、僕はただ流れるまま、電車の中に乗り込んでいったし、そのままの体勢で本を読んでいる。

 

しかし、この男はどうだ。僕と面を向き合ってもなお、その目はじっと真っ直ぐを見つめ、まるで何か獲物を探るかのような気配すら感じる。これで痴漢だったらとんだお笑い草だ。

 

電車のドアに背を向ける形でそいつは電車に乗っているわけだけど、その立ち姿勢に僕はとてつもない好奇心を抱く。

 

彼に興味津々ではあったものの、電車はもう次の駅に到着しようとしていた。

 

次の駅ではホームが左側にあるから、ちょうどそいつがもたれ掛かっているドアが開く。

 

そのまま降りてしまうんだろうな。何故か僕はそう思ってしまった。

 

そいつの降りたい駅が次の駅なんだ。と勝手に思ってしまい、僕は何故だか物足りなさを感じた。

 

なんだかよくわからないが、そいつのことをよく観察してみたい。なぜかそう思っていた。

 

そいつの動きは本当に興味をそそられる。電車が大きく揺れようとも、そいつの巨体はまったく微動だにしない。まさに壁。いや、もはや心柱だ。

 

 

何があろうとも決して折れることを知らない心柱。絶対的な心柱が、何故か電車の出入口付近に立ってしまったのだ。

 

考えているうちに、やがて電車はホームに突入し、スピードが次第に落ちていく。そいつの後ろで流れてく人々の残像を目で追いながら、僕は彼の太い眉毛をじっと見つめた。その後に起こる惨劇のことなど、僕は微塵も思わなかった。

 

そう、微塵も。

 

ゲジまゆのそいつの後ろには、満員の電車に乗り込もうとたくさんの人で溢れかえっていた。さすがにこの人の多さでは、あいつの支柱たる姿勢も一気に崩れることだろう。あえて言うなら僕はそれを見たかった。

 

しかし、目の前で起こったことは僕の想像をはるかに超えていた。

 

ホームに電車がつき、ドアが開こうとしたその刹那、確かに僕は聞いたのだ。

 

「俺の後ろに立つな」

 

その惨劇は後に「朝の東西線通勤快速銃乱射事件」として語り継がれることになった。主犯である男の名は「ゴルゴ〇3」という有名な殺し屋。殺し屋で有名というのもおかしな話ではあるが、あまりにも有名なようで、彼をモデルにした作品がいくつか世に出回っているらしい。

 

僕は運良く被害は免れたものの、あいつの後ろにいなくて良かったなんて思う。

 

ゴ〇ゴ13のその後の消息は不明で、あれだけ駅で銃を乱射していたのにも関わらず、なぜか足取りも掴めていない。さすが殺し屋と言ったところだ。

 

今もまだ電車に乗る場面は多々あるが、たまにこの事件のことを思い出し、あの時の恐怖がまた沸いてくる。

 

まぁ、妄想ではあるが。

 

ー完ー