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生意気

「好きを仕事」にするメディア構築。自己啓発ネタから社会情勢、自動車業界、趣味である音楽、漫画のことを発信します。日々精進。

芥川賞受賞作。村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を読んで感じた社会不適合者という個性。

芥川龍之介賞、通称芥川賞といえば、新人作家、無名作家が受賞する、直木賞と並ぶ、文学賞の一つで有名ですね。

今現在、小説家を埋め見ている方なんか、目下この賞の受賞の為に虎視眈々といった具合なんですかね。

年に二回、催されるこの芥川賞なんですが、去年の上期に受賞された作品で、「コンビニ人間」という作品がございます。

村田沙耶香さんという女性の方が書いている本です。

 

コンビニ店員の主人公、”古倉恵子”という人物は、大学生の頃から始めたコンビニのバイトを、三十半ばまで続けており、就職の経験もないという、いわゆる社会不適合という人物。

 

著者である、村田沙耶香さん自身も現役のコンビニ店員で、その経験をそのままフィードバックして小説に落とし込んでいるので、コンビニでのシーンが非常にリアルに描かれる。

 

僕も高校の頃、コンビニのアルバイト経験があるのでわかるのですが、品出し、検品、入金などの時間計算がリアルに描かれすぎて、村田さんがどれだけのベテランコンビニ店員かが、うかがい知れた。

 

サービス業といえど、ただお客さんをさばいているだけでは、お店は回らない。もちろんピークもあるし、商品もなくなる。

商品はキチンと並べていないと、お客さんも満足に買い物ができないので、接客だけが全てではないのだが、客側からしたら、やはり会計を早く済ませることにしか頭が回っていない。

 

品出し、検品の時間を考えて、この時間ならお客さんも少ないだろう。とか、ここの間にこれを済ませれば接客に支障が出ないな、という考えがそのまま描かれていて、彼女が歴戦練磨のコンビニ戦士だということがはっきり伝わってくる。

 

そんなリアルな店員目線が面白かったりした。

 

そして彼女がどれだけ、このコンビニという存在が大きいのかがよく伝わった。

 

あくまでフィクションではあるものの、フィクションであってこれは村田さん自身の自伝であるという捉え方もできる。

 

そこから見えてくる、著者の人間性や考えなども、この本の魅力なのかもしれない。

 

彼女は作家であると同時に、現役のコンビニ店員でもある。

作家となり、売れてもコンビニは辞めないと言っているあたり、かなりのコンビニ依存症だ。それを悪くとらえるような仕方はしない。読めばわかるが、どれだけ彼女にとってコンビニという場所が大事かがわかってしまうので、否定なんてできっこない。

 

完全に自信を投影した作品。

 

いい歳してコンビニバイトってなんて、世間一般の人々は言うかもしれないけど、僕が思うに社会不適合者と言うレッテルにはなんの意味も持たないと思う。

 

実際にこの作品を読んだ方ならわかるだろうが、この主人公は紛れもなく、著者”村田沙耶香”と言う人物だと僕は思ってる。

だから主人公の言葉は、作者の言葉として捉えて読んでいたわけだが、果たして本当に社会不適合者だろうか?

コンビニに人生をかけて没頭し、コンビニに執着しないといけない生き方が間違っているとは言い切れるのかとも思う。

色々、賛否あって、こんな大人はちょっと・・・。なんて言葉も見たけど、それはあくまでその人の価値観であって、本人の人生には関係のないものだ。

 

村田さんがコンビニで働く意味に、「人間観察」「規則正しい生活が送れる」と発言している。

 

これって結構なんにでも当てはまってしまうんじゃないかと思った。

どんな職業にでも就けば、「規則正しい生活」は送れるし、「人間観察」もできる。

極論言ってしまえば、どんな仕事に就いてもそれはできる。

けど、その場所として村田さんはコンビニを選んでいるわけだ。これって何も変わったことじゃい。選べるからこそ、コンビニ。

 

それができるのは、どこでもできるけど、環境は大事。18年、コンビニで働く彼女にとってそれができる環境がコンビニになってしまっただけ。

 

ネタバレになるけど、最後のシーンで、主人公が就職しようと企業の面接に赴くシーンがある。しかし寸前で、コンビニの「声」が聞こえると言って、引き返してしまう。結果としてコンビニにあと戻ってしまうわけだが、その行動にはすごく惹かれた。

 

よく考えて欲しい。ここまで自分の職場に執着することができる人っていますか?

 

多分ほとんどの人が、村田さんのような執着ではないと思う。

そのほとんどが生活のため、家族のため、お金のため、対価のための労働だ。

 

しかし彼女はどうだろう。そういったものではなく、そこではなくては絶対にそこではないといけないと、言っている。

 

これを社畜ともいう人もいるだろうし、やはり社会不適合だなという人もいる。

 

僕は決してそう思えないし、むしろ尊敬する。

 

コンビニは彼女にとって、社会と適応するための手段であるし、生きている証にもなっている。

 

働くことの本質が描かれていて、とても感動した。

 

 

 

ていう話。

なんかかたっ苦しくなった。

 

 

アディオス。